2010年8月アーカイブ

2010年8月25日

死を報道したがる人々のレース

今敏という映像監督が亡くなった。
主にアニメーションを製作されていて、独特の映像美や情景描写で見る者をとりこにする、そんな監督だった。
ぼくもこの監督が好き......といっても、アニメ作品を数本くらい見ただけだったが。

ぼくがその「うわさ」を知ったのは、Twitterに「おはよう」と書き込もうとしたタイミング。
タイムライン上に、まさかと疑う人が大勢おり、ぼくもそのなかの一人だった。
どうやら、監督にちかい人が、Twitterやmixiでそのことを書いたため、一気に情報が広まったらしい。
ただし、これはあくまでTwitter・mixiにおける「個人の発言」が情報元で、信憑性がほとんどない。
オフィシャルな情報を見るまでは信じない、そう決めて、SNSやニュースサイトの動向を伺うことにした。

しかし、この「インターネット上にあふれる言葉」が、とても異常だった。
とにかく、きもち悪かった。
インターネット上の人々やメディアは、こぞって「我先に」と情報を流す。
未確認情報なのに追悼メッセージを書き込む人、死去に関するスレッドを掲載する2chまとめサイト。
なかには、さきばしったニュースサイトが「○○監督死去!?インターネット騒然」という記事を掲載する始末。
そんなに人より先に「今敏が死んだぞ!!」って言わないと気がすまないのか?
本当に死んだかどうかわからない情報を伝えないといけない理由でもあるのか?

昼さがりごろ、とうとう公式サイトからオフィシャルな訃報が出された。
さらに、監督本人の最後のブログとして、遺書も掲載された。
ぼくは、ここで初めて監督の死を事実だと受け止めた。
監督がこの世を去り、もう新たな作品が作られない事実への残念な気持ち。
それと、結果としてほんとうだったとはいえ、こぞって「他人の死」を口にしたがった人々にもってしまった違和感。
ただただ複雑な心持ちで、朝の「うわさ」から夕方の「発表」までをなぞらえた。

インターネットには嘘がいっぱい、と揶揄される。
どちらかと言えば、嘘というより信用できない情報、と言った方がいいのかも知れない。
つくづく、情報は鮮度よりも信頼性だと感じる、そんな一日だった。

以下、余談。
あらためて、今敏監督の「パプリカ」を見たが、やっぱりおもしろかった。
監督の生死は関係なく、面白い作品は世に残る。
だからこそ、ぎりぎりまで最後の作品の製作に取り組まれたのだろう。
監督の最後のブログによると、ほんとうに死の直前まで、製作に携わっていたそうだ。
ご本人が全てを手がけた作品はもう見られないけれど、それこそ命がけで最後まで製作に向かい合う気迫をもった監督の作品。
これから少しずつ、残りの作品も楽しませていただきます。
早すぎる他界ではありますが、本当にお疲れさまでした。

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