2010年2月アーカイブ

2010年2月27日

映画・つむじ風食堂の夜

仕事帰りに映画なんて、何年ぶりだろう。
大阪・十三の第七藝術劇場で、楽しみにしていた「つむじ風食堂の夜」が上映されているというので、どしゃ降りの雨の中、足を運んでみた。
第七藝術劇場は、まさに「つむじ風食堂の夜」を見るにふさわしい、小さな我がの町の映画館といった風体。
場内が暗くなるまで、気持ちおだやか、でもそわそわといった心持ちにさせてくれる。

映画館の様相はさておき、肝心の映画は、ほぼ原作の流れそのままに展開する。
通称「つむじ風食堂」という、名前なき小食堂。
そこに集う、"私"をはじめとした常連客たちが、冗談や日常の疑問などについて語り合う、そんな物語。

この映画について「最後まで何もない映画で、つまらない」と評するレビューを見た。
でも、何かあってしまうと、逆にこの映画の良さが一気に崩れてしまうのである。
僕がこの映画を見るにあたって一番楽しみにしていたこと、それは、空気だ。
原作の小説においても、ぼくは「日常描写の美しさが秀逸」と知人に紹介していた。
その"美しさ"を損なわないよう、おだやかな空気作りがされており、安心して映画に入り込むことができた。

最初は、想い描いていた風景との不一致に、違和感を覚えざるを得なかった。
でも、物語が進むにつれ、ここは月舟町なんだと自分の中で自然に受け入れている。
原作同様、何もないけどとてもはかなく美しい何かに触れているような、そんな気分にさせてくれる作品だった。

2010年2月19日

師匠

先日も書いたが、かれこれ2年近く、ウクレレ教室でレッスンに通っている。
我ながら上達しないと思いつつ、昔もらった楽譜を弾いてみると、あっさり弾けたりして。
そんな自分で気づかない成長が楽しくて、今の教室に通い続けている。
この教室に通い続けている理由は、レッスン抜きに先生と会話するだけでも楽しいから。
はっきり言って、非常にゆるい。
1時間のレッスン時間で、ひどいときは30分以上、雑談で過ごすこともある。
そんな先生なものだから、習うほうも気兼ねなく通いやすい。

先日、初めて先生のライブに足を運んだ。
街中に隠れるように軒を構える、こぢんまりしたカフェがライブ会場。
いつもの調子で挨拶されたあと、ギターを構えたとたん、目が真剣になる。
演奏は、当然ながらうまい。
ギターを弾いている間は、目線やリズムだけで、ほかのメンバーとコンタクトを取る。
間近に聞けたせいもあるが、聞いているぼくも、安心感を覚えながら、音楽に身をゆだねられる。
ああ、この人はやっぱりプロなんだなぁ、と実感。

何人か「職人」を知っているが、彼らはみな、自分の仕事に誇りを持っている。
そして、その誇りを仕事に惜しみなく使い、お客さんたちに分け与えてくれる。
実際の定義は別にして、自分の実力で人を納得させられる人こそ、「プロフェッショナル」と呼ばれるにふさわしいのだろうと思える一夜だった。
すてきな演奏を聞かせてくれた先生たちに、心より感謝を。

2010年2月18日

ウクレレとジャケット

小さなウクレレ教室に、去年の夏前からずっと通っている。
その教室で、最近、なぜか先生からひいきにされている。
食事をおごってもらったり、エアコンとソファを交換する約束をしたり、などなど。
そんな先生に、つい先日、ジャケットをいただいた。
軽い口調で「俺の着てへんジャケットいらへん?」と言いながら取りだしたのは、黒いウールのジャケットで、タグには「MADE IN BELGIUM」の文字。
聞けば、一着うん万円の、けっこうな代物。
「もらえるならなんでも」なんてうそぶいたが、さすがにそれを聞くと気がひける。
本当に構わないのか聞いてみると、「一年前の服とかほとんど着ないから」とのお返事。
「金持ちっすねー」なんて冷やかしてみたが、それにもちゃんと事情があるそうだ。

音楽というのは、人に見られる仕事である。
みすぼらしい格好のまま人前に出ても、相手になめられてしまう。
演奏だけじゃなく、服装や趣味からも自分の「スタイル」を作らなきゃいけない。
そんなだから、服は増えれど着ない一方なので、「もらってくれたほうがありがたい」そうなので、そのままもらってきてしまった。

というわけで、今着ているジャケットのエピソードを、通勤途中の電車で書いてみた。
もともと「ウクレレをちゃんと習いたい!」と言う気持ちから、思い切って連絡してからの縁。
それが、まさか生活面でもお世話になるとは。
縁からうまれたお裾分けに、ただただ感謝。

2010年2月17日

生活という情報

自宅の引っ越しが終わってから2ヶ月。
引っ越しと言っても、チャリンコで移動できるような距離の、目と鼻の先みたいな距離で移った程度。
実は、一時期この近くでアルバイトをしていたこともある。
慣れ親しんだわけではないけれども、多少は勝手を知っている。
そんな街に、まさか自分が住むことになるとは。

当然、仕事や遊びで「行く」ことと、生活の拠点として「住む」ことは、雲泥ほどの差がある。
周辺で何件かおすすめのカフェやレストランなどには、足を運んだことがあるので、住む前から紹介しようと思えばできた。
でも、実際住んで見ると、そんな散歩コースの情報なんてほとんど役に立たない。
駅までの最短ルートやスーパーマーケットなどなど、本当に生活に必要な情報を、ぼくはぜんぜん把握していない。
今まさにぼくは「土地に対する情報不足」に困っていて、一番身近に使えそうなクリーニング屋さんがさっぱり見つからない。
こればかりは、はやくなんとかしないと。

逆に、住んではじめて得られる情報もあって。
というのも、引っ越した当日、餃子一皿100円という中華料理屋を発見した。
見かけは、看板もすすけている、古びた中華料理屋さん。
友人と思い切って入ってみると、意外や意外、これが結構おいしい。
ラーメンをすすりながら、引っ越して最初の「住んでよかった」を実感。

情報誌にも載らない情報を、日々の中から手に入れる。
生活を楽しむってのは、そんなことなんだろう。

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